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配置薬従事者10年連続減少

富山の配置薬従事者10年連続減 高齢化後継者不足

2022.08.02 00:15

 

■全国5位に後退

 2021年末時点の県内の配置薬販売従事者数は、前年比7・9%減の474人となり、10年連続で減少したことが1日、県のまとめで分かった。高齢化や後継者不足が主な要因とみられ、都道府県別では3位から5位に後退した。 (土居悠平)

 21年秋に広貫堂(富山市梅沢町)など配置薬メーカーの不適切製造が明るみになってから最初の集計となった。一連の問題と減少の関係について、県くすり政策課は「廃業の個別の理由は集計しておらず、分からない」としている。

 県内の従事者は前年比41人減。このうち、09年施行の改正薬事法に基づく従事者(新配置)は25人減の252人で、平均年齢は56歳。旧法に基づく従事者(既存配置)は16人減の222人で平均年齢は67歳だった。既存配置の高齢化が目立ち、70歳以上は137人と全体の61・7%に上った。

 県内の従事者を市町村別に見ると、富山市が最多で215人。射水市75人、高岡市50人、滑川市46人、上市町35人と続いた。

 全国の従事者数は5・4%減の11353人で、最多は前年と同じ北海道の742人。2位は愛知の549人、3位は大阪480人、4位は東京475人となった。

 県内の従事者数は1961年の1万1685人をピークに減少傾向が続く。同年の国民皆保険導入を機に病院診療が身近になったことや、ドラッグストアなどで一般用医薬品が入手しやすくなったことも背景にある。

 県や県薬業連合会は高校生向けに仕事の魅力をPRしたり、顧客情報を記した「懸場帳(かけばちょう)」の継承を支援したりして就業への取り組みに力を入れる。同連合会の高田吉弘専務理事は「法人販社の意欲ある若手が増え、さらに独立するような流れが生まれるのが理想。連合会としてもサポートしたい」と話している。

https://webun.jp/item/7869545

 

今更のニュースだが、法人販社の脱サラだよりというお粗末な理想を語られてもねえ。

 

配置従事者の年齢構成は、2016年度のが見つかった。

https://www.pref.nara.jp/secure/195382/H28nenpou1.pdf

上記の中の、年代別配置従事者数を見てみるといい時代もあったのだと懐かしい。

データが古いので推計してみた。2010年から2016年までで64%になっているので、単純に2016年に6年間の減少率を掛けると2022年(推計(乱暴))になるが、実際はこんなもんじゃない気がする。

  20代 30代 40代 50代 60代 70代 総数
2010年 52 106 125 142 187 227 839
2016年 33 44 94 88 130 147 536
6年の減少率 63.5% 41.5% 75.2% 62.0% 69.5% 64.8% 63.9%
2022年(推計) 20.9 18.3 70.7 54.5 90.4 95.2 342.4

 

 

全体的には下降トレンドは間違いないが、主に以下の理由が考えられる。

(1)売り上げの減少

(2)扱い医薬品の生産中止

(3)年齢(高齢者の自動車事故で、娘からの引退勧告)

(4)得意先の高齢化

(5)得意先の価値減少で得意先の売買の不活化

(6)研修制度の義務化

この中の(1)はドラッグストアの台頭で単純に売上が減少している。ある配置員にきくと廻商地域にドラッグストアができると爆弾のように跡形もなくなるといっていた。

(2)の医薬品の生産は配置薬の小規模生産工場がGMPについていけなくなっていたり、広貫堂に見る違反など現在のコンプライアンスに適合しなくなった。また、医薬品の過度の摂取が倦厭されたり、牛黄製剤や高麗人参などの高額な医薬品が減少しつつある。

(3)、(4)の高齢化は致し方なしだが、医薬品の過度の摂取が倦厭されてきて病院から止められるケース、老年施設などに入居したケースが目立つ。また配置員の子供は配置員になるケースは少ないし、下降トレンド中に引き継いでもうまくいかないケースが多い。

(5)は魅力的な業界ではないので新規参入がない。一部の大手業者をのぞき、新陳代謝も起こらない生産性の悪い業態に陥っている。

(6)は登録販売者制度ができ、勇んで受験したもののやはり不合格が多発しやる気がそがれたのがボディブローのようにきいてきたのではないだろうか。

 

本当に一部の業者ではあるが、医薬品ではなく健康食品に特化して販売を伸ばしている業者もある。個人業者の範疇で、配置薬全体からすると誤差範囲になるが、説明の難しい健康食品をしっかり説明し(薬機法違反にはなるのだが…)販売している業者もあるという。もっとも1人で年商2000万と聞くと、ちょっと引いてしまうが。。。。

 

いずれにせよ、伝統産業化しつつある配置薬業界は今後高齢化を乗り越えていかねばならない。そのためには多少エビデンスのある、機能性食品に活路を見出し医薬品からの脱却を目指さないと未来(あるのか?)につながらないであろう。

 

1979年からの各年代の推移は以下に。

年次  20歳 未満 20~29  30~39  40~49  50~59  60~69  70歳 ~ 総数 
1979   194 407 739 662 498 198 2708
1980 9 181 388 655 617 477 191 2518
1981 5 158 346 624 629 441 205 2408
1982 8 142 329 569 652 423 214 2337
1983 5 146 323 537 641 418 216 2286
1984 4 144 298 500 645 394 219 2204
1985 2 145 298 468 630 398 242 2183
1986 0 142 283 445 680 364 272 2186
1987 0 123 227 345 559 408 279 1941
1988 1 103 218 320 556 400 269 1867
1989 5 108 196 309 574 392 187 1771
1990 1 97 161 276 528 403 173 1639
1991 5 83 148 266 495 429 184 1610
1992 1 102 138 263 452 424 188 1568
1993 5 89 137 264 418 424 190 1527
1994 3 95 136 242 389 428 190 1483
1995 5 107 131 235 341 445 214 1478
1996 1 106 114 234 299 443 237 1434
1997 0 101 113 210 284 432 244 1384
1998 0 109 124 194 264 419 249 1359
1999 1 126 132 193 260 417 283 1412
2000 0 101 124 180 247 388 256 1296
2001 0 109 131 163 253 384 291 1331
2002 0 103 137 147 229 335 258 1209
2003 0 116 158 150 236 314 293 1267
2004 0 101 161 150 219 275 321 1227
2005 2 107 140 151 233 247 343 1223
2006 1 81 148 127 203 208 287 1055
2007 1 68 134 127 168 199 241 938
2008 1 55 126 128 171 192 268 941
2009 0 52 106 125 142 187 227 839
2010 0 52 98 119 131 192 241 833
2011 0 51 92 114 118 170 201 746
2012 0 47 81 116 112 168 205 729
2013 0 48 64 120 115 151 175 673
2014 1 46 62 116 118 152 188 683
2015 0 33 44 94 88 130 147 536

 

2000年から切り出してみると、70歳がギザギザで、60代からの供給と廃業のバランスがとれていないか、統計上の問題か?

 

 

 

上のグラフを見ると10年連続減ではなく、18年連続減であることがわかる。(平成23年の6人増に目をつむると。)

 

 

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2023/2/20

配置従事者数減のニュースが出てきた。

2021年度の富山県の配置従事者数が前年度比91人減の396人とのこと。

配置従事者減 富山が全国最多 21年度91人減(北日本新聞)|dメニューニュース(NTTドコモ)

 

全国では757人減の10519人とのこと。原因は高齢化、後継者不足に加え、医薬品メーカーの不適切製造とある。次はインボイスが原因になるだろう。

 

逆に、埼玉(96人増)、新潟(63人増)など6県が増加したという。

配置販売業者の新規採用なのだろうか?

 

 

http://www.okigusuri-k.jp/img3/n182.pdf

こんなのを見つけた。

かなりもりもりの見解で面白い。

配置従事者の年間売上高を1000万強としているが、なんとうらやましい金額だろうか。。。実際は7~800万位じゃなかろうか?

また、訪問販売業の配置販売としては持ち家率が重要なのかもしれないが、どうであろうか。そこで、相関係数を出し、どれぐらいの相関があるかを調べようと思ったが、どうやるんだっけ?娘に教えてもらおう。。。

 

 

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2023/07/31

配置薬従事者11年連続減 県内403人、高齢化・コロナ禍影響|北日本新聞webunプラス

 

富山県の配置従事者数は2022年が474人で2023年で403人。

平均年齢は68歳。あと6年でなくなる!?

全国では、8.9%減の10342人。

 

原因は医薬品の不適切販売で商品の供給停滞とある。が、実際は通常の引退かと。

コロナ禍では高齢の配置員はあまり廻商に出ていない。まぁ仕方がないけれども。

減少を食い止めるためには法人配置販社で若手を育て独立する流れとあるが。。。

独立するには得意が必要。借金をしてまで得意を買うだろうか?

いや買わないから、減少している。

ではどうすればいいか?

得意の無償譲渡しかないが、現状得意を購入するのは大手販社だけ。配置薬の多様性は薬事行政の高規格化で消えていくが、仕方がない。

先だってはジェネリック企業も統廃合しようという記事も出たが、確かに現状の医薬品製造規格についていくのは一苦労だろう。